キースホンドを迎えるか迷っている方が、ほぼ必ず気にするのが抜け毛です。あのボリュームのある被毛を見れば当然の心配だと思います。
先に、5年暮らした我が家の結論を書いておきます。キースホンドを飼ううえで最大のデメリットは、抜け毛だと思います。 そして、ブラッシングをどれだけしても抜け毛がゼロになるわけではありません。
この記事では、キースホンドの被毛がどんな構造になっているのかをJKCとAKCの情報で整理したうえで、実際に暮らしてどうなのかを正直に書きます。
キースホンドの被毛の特徴
JKCの犬種紹介によると、スピッツ犬種は「豊富な下毛により生ずる美しい被毛」が魅力とされています。キースホンドの被毛の特徴を整理すると、次のようになります。
- 毛色は、毛先がブラックのシルバー・グレー
- マズルと耳はダークな色で、目の周りには「スペクタクル(めがね)」の模様が明瞭に出る
- 首の周りは、たてがみのようなカラー(ラフ)になる
- 尻尾は毛量豊富で、背中の上に堂々と掲げる
なお、この毛色はアメリカのAKCでは「ウルフセーブル」と呼ばれ、唯一認められる色とされています。
犬種の基本情報はキースホンドってどんな犬?で詳しく紹介しています。
ダブルコートとは何か
キースホンドの被毛は、性質の違う2層でできています。AKCの解説では、それぞれの役割はこう説明されています。
| 層 | 役割 |
|---|---|
| アンダーコート(下毛) | 柔らかく密で、寒さと暑さの両方から体を守る |
| トップコート(上毛・ガードヘア) | 硬めで、水分をはじき、皮膚を守り、毛色の模様をつくる |
ここで大事なのは、アンダーコートは「寒さ対策」だけの毛ではないという点です。この誤解が、後述するサマーカットの問題につながります。
抜け毛はいつ、どれくらい?
AKCによると、季節性の換毛が最も多いのは春と秋です。春は冬の厚い毛を落として涼しく過ごし、秋は薄い毛を落として冬用の厚い断熱毛に入れ替える、というサイクルです。
ただし、日本で暮らす飼い主にとって重要なのは次の記述です。
日本の気候で暮らす以上、抜け毛は年2回だけとは限らない——という心づもりでいたほうが現実的だということです。
面白いのは、その「特に抜ける時期」の分かり方です。
実際、どれくらい抜けるのか
一般論だけでは伝わりにくいところなので、我が家の体感を書きます。
服やソファ、そして掃除についても書いておきます。
日々のケア:ブラッシング
スリッカーブラシで全身をとかし、その後コームで仕上げる。頻度は最低でも週1回。 これがAKCの示すダブルコート犬のケアの基本です。
手入れを怠るとどうなるかについても、AKCははっきり書いています。ダブルコートが正しく維持されないと「もつれて皮膚を刺激し、家じゅうに毛が広がる」こと、さらに湿度が高い環境で週1回のブラッシングがされないと、詰まった下毛が皮膚のそばに湿気を留めてしまい、細菌の増殖や皮膚感染のリスクが高まることが指摘されています。
ブラッシングは、抜ける毛を先に回収して、もつれや皮膚トラブルを防ぐためのケアでもある、ということです。
日本の梅雨から夏にかけては、この「湿度が高い環境」に当てはまります。そのうえで週1回のブラッシングがされないと、上のリスクが重なるということです。抜け毛のケアは「見た目や掃除のため」だけでなく、皮膚の健康のためでもある——AKCも、週1回のブラッシングは抜けた毛を取り除き、自然な皮脂を行き渡らせ、皮膚感染を防ぐと説明しています。
そのうえで、これから迎える方に一番伝えたいのはここです。
ブラッシングは抜け毛をゼロにする手段ではありません。それでも、上に書いたとおり、もつれや皮膚トラブルを防ぐという別の役割があります。抜け毛を消すためではなく、被毛と皮膚を健康に保つためのケアだと考えたほうが、続けやすいのではないかと思います。
サマーカットは「涼しくなる」のか
「夏は暑そうだから短く刈ってあげたい」——ダブルコートの飼い主が一度は考えることだと思います。しかしAKCは、これを推奨していません。
AKCが刈る代わりに挙げているのは、定期的なブラッシング、涼しい入浴、足裏の毛のトリミング、涼しい水と日中に避難できる場所の確保です。
なお、皮膚疾患の治療など医療上の理由でカットが必要になる場合については、上記の記事には記載がありません。個別の判断は、かかりつけの獣医師に相談してください。
まとめ
- キースホンドの被毛は、密なアンダーコートと硬いトップコートの2層構造。下毛は寒さだけでなく暑さからも体を守る
- 換毛は春と秋が中心。ただしAKCは、温暖な地域では年4回、あるいは年中抜けることもあるとしている。我が家のキーくんも基本的に年中抜けていて、年2回ほど特に抜ける時期が来る
- ケアはスリッカーブラシ+コームで最低週1回。手入れ不足はもつれ・皮膚トラブルにつながる
- 涼しくするためのサマーカットは、AKCは推奨していない。熱中症リスクや毛の再生異常の可能性がある
- 実感として、抜け毛はキースホンドを飼ううえで最大のデメリット。毎日ブラッシングしても気にならなくなるわけではない
抜け毛は、キースホンドを迎えるうえで避けて通れないポイントです。だからこそ、迷っている方には正直な情報が役に立つと思い、良いところだけでなくそのまま書きました。
換毛期の実際の様子や、我が家で使っているブラシについては、別の記事で書いていく予定です。犬種そのものについてはキースホンドってどんな犬?、性格についてはキースホンドの性格もあわせてどうぞ。


